現代の消費者は、多くの情報に簡単にアクセスできます。知りたいことはほぼ何でも、Googleで検索すればすぐに知ることができます。友人、家族、知り合いそして「インフルエンサー」の投稿が新コンテンツとして次々更新・表示され、おそらくそれまで関心も知る必要もなかった物事についても知るきっかけを得られるソーシャルメディアを活用すれば、更に情報源は拡大します。

そして、こうした状況は、企業にも影響をもたらしています。企業やブランドは、消費者の期待が高まり続ける中、容赦ない評価にさらされています。優れた製品やサービスを生み出すだけでは、もはや十分ではありません。現代の企業は、消費者の期待、価値観、信念に応え、消費者の信頼を勝ち取らなければならないのです。

PR代理店のエデルマン(Edelman)が世界8市場の2万5000人を対象に2019年に実施した信頼度調査トラスト・バロメーターの特別報告書「ブランドは信頼に値する?(In Brands We Trust?)」によると、ブランドは消費者の期待に応えられていません。デジタル時代の到来に伴う信頼の概念の変化をテーマに実施された本調査では、「購入もしくは利用しているブランドの大半を信頼できる」と答えた回答者が全体のわずか3分の1にとどまりました。一方、ブランドの社会への影響力の拡大に懸念を抱いていた回答者は69%に上り、これらの回答者からは、自らの理念の積極的な発信をブランドに期待する声が多く聞かれました。また、業務に直接影響しない社会問題に最低一つは取り組むなど、ブランドは社会的責任を果たすべきだと考えていた回答者が53%に及びました。

さらに、ブランドによる口先ばかりで行動が伴わない対応、いわゆる「トラスト・ウォッシング」に対する懸念を反映し、「売上を伸ばすためのマーケティング戦略に社会問題が利用されている」と感じていた回答者が56%に上りました。これに関して消費者の間では、自らが提唱する理念を実践していないブランドの製品の購入を拒否する「財布による投票」に訴える傾向が急速かつ衰えを見せず広がっています。「正しいことをするブランドなら信頼できる」「正しいことをしているかどうかが購入の判断基準になる」と答えた回答者は、あらゆる居住国・年齢・収入層を含めた全体の約81%に及びました。

一方、本調査では、ブランドよりインフルエンサーを信頼する傾向も明らかにされ、インフルエンサーを好きになる理由も、「内容」が「人気」を2倍上回りました。特に、ミレニアルやz世代など若い世代の消費者からは、信ぴょう性に対する関心を示す回答が多く聞かれ、約63%が「ブランドの広告メッセージよりインフルエンサーのブランドに関する意見を信頼している」と回答しました。このように、高齢世代と比較すると、若者世代にはブランド全般に対する信頼の低さや自分と似た立場の人々の意見を求める傾向があることがわかりました。つまり、自分と似たような人間を信頼する傾向があるということです。調査会社ニールセンが2015年に実施した「広告信頼度グローバル調査」では、立場が似た人々の意見を「100%」もしくは「いくらか」信頼していると答えた回答者の割合が83%に及び、最も信頼できるアドバイスの入手先として友人や家族を挙げた回答者が大多数に及びました。

たしかにインフルエンサーには、ブランドの売上・信頼・サポートを獲得できる力があります。ですが、企業やブランドの社会への配慮や社会的大義への貢献が本物でなければ、インフルエンサーのメッセージも大量生産化され、インフルエンサー自身に対する消費者の信頼も損なわれ始めるでしょう。その証拠に、インフルエンサーマーケティング自体極めて新しいコンセプトであるにも関わらず、フォロアー数が数千万〜数億人に及ぶ破格の料金がかかるマクロインフルエンサーより、フォロアー数が1万から10万程度のマイクロインフルエンサーとの提携を選び、消費者も認める普通の人の信憑性のある口コミを利用する戦略に移行する傾向がすでにブランドの間で広がっています。この傾向は、マイクロインフルエンサーの職業化を招き、偽フォロワーの買収、不正エンゲージメント、全く関心のない製品の収入目的の宣伝などの行為の拡大につながっています。こうした商業的側面は、マイクロインフルエンサーのコンテンツに対する消費者の疑念を招きかねません。

ソーシャルメディアの利用者の大半は、家族、友人、友人の友人、職場の同僚、近所の親しい知り合いなどをフォローしています。こうした一般的な利用者の中にも、フォロワー数が数百人から数千人に及ぶ「ナノインフルエンサー」と呼ばれる人々が存在します。人々の関心を惹きつけられるコンテンツを定期的に投稿する彼らは、マクロインフルエンサーよりエンゲージメント率が高いのが特徴です。さらに、地域レベルの活動や慈善活動に積極的に参加するなど、それぞれの地域社会の積極的な担い手である場合が多いのも重要な特徴です。「市民インフルエンサー」と呼ばれるこれらの人々は、消費者によるブランド製品の購入判断に影響をもたらせるのはもちろん、行動的な市民としての企業との連携を通し、社会や地域コミュニティの利益になる活動を先導することができます。自分と似たような人々を信頼する傾向は、依然健在です。今後は、市民インフルエンサーを巧妙にマーケティングに統合し、社会的大義への配慮を行動により示すことが信頼獲得の鍵となります。

社会的な責任を果たせる企業とキーインフルエンサーを「社会貢献と利益の両立(Do well by doing good)」という共通の目標に基づき結びつけるImpact Influencers(インパクト・インフルエンサーズ)の詳細については、ぜひお問い合わせください。